男の更年期(2)
更年期は豊かな老後を迎えるための準備期間
そもそも『更年期』というのは、いったい何なのか、その概要を日本更年期学会理事長を務める東京医科歯科大学の麻生教授に話をうかがった。
「更年期というのは、その文字が表すとおり、ある一定の期間を指します。平均寿命が83〜84歳と高齢になっている女性の一生は、ホルモンの変化によって、いくつかのステージがある訳です。
まず、女性としての機能を備えて行く時期が思春期で、だいたい17〜18歳。この時期に初めて月経が始まり、その後は妊娠や出産・分娩、育児といった仕事が中心となる性成熟期。40歳半ばには更年期へ入り、これを過ぎれば高齢期、老年期という時期へ続いていきます。
更年期の一番大きな変化が閉経で、それまで周期的にあった月経がなくなるわけです。この閉経を含めた前後5年くらい、トータルで約10年間が更年期と呼ばれ、日本の女性の50%は50歳くらいで閉経を迎えるため、一般
的には45〜55歳くらいを指すことになります。
月経が無くなるというのは、卵巣で作られる各種のホルモンも減っていくとにつながり、その中で特に重要なエストロゲンというホルモンは、閉経を境にほとんど無くなります。これによって、いろいろな変化が体全体に及ぼされるため、更年期は女性にとって、心も体も非常に大きな変化をする時期となるわけです。
このホルモン減少による心身の大きな変化によって、現れる特徴的な症状(図A参照)が更年期障害と呼ばれ、一般
に『更年期』といわれているのは、こちらを指していることになる。
ポジティブな発想に転換を
更年期は誰もが通るステージだが、症状の出方には個人差があるという。
「更年期障害には、いくつかの症状群がありますが、それは更年期だけの問題でなく、それまでにどんな生活をして来たに関連します。例えば、体の調子がよくなかったり、月経があっても非常に不規則だっり、そうい人には更年期の時期は早く襲って来る場合もあります。
その人の生活習慣、どういう気持ちで生活して来たか、ものの考え方、家庭環境や夫婦関係など、いろんなことが投影され、その症状を強くしたり、症状の出方がどうであるかを決める訳です。
逆説的に考えれば、更年期の症状を軽くすることも可能なのだろうか。
「確かに症状が出たら回復するのは難しいですし、直前になってあわてても効率は悪いですね。若いうちは無理が効いても、しわ寄せは確実に来ますから、対策は早ければ早い方がいいし、普段から気をつけておくのが基本ですね。
食習慣や睡眠のリズムがシッカリしているか、日々の問題を解消できているか。30代の後半くらいになったら一度、基本的な生活の送り方などについて考える機会だと思います。女性のトータルなライフについて頭の中に入れるておくこと、そういう発想が足りない気はしますね。
更年期に対しても、乗り切るという言葉が僕はあんまり好きじゃない。生活を見直してキチンと対応することができれば、豊かな老後を迎えられるわけです
それが次の30年なり、20年なりの生活を大きく左右するわけですから。でも、頑張って乗り切りましょうという発想ではパニックになって、それが自分自身でそれをストレスに感じると思います。その時の状況に自分自身を合わせるポジティブさで、これからの生活をより豊かにする方法を考える時期なんですよ。
女性ホルモン減少は他にも影響
さらに、エストロゲンの減少は、更年期障害だけでなく、骨や血管、脳にも影響を及ぼすというのは見逃せない。
「例えば、骨の問題。骨量は20歳後半でピークに達し、その後だんだんと減って行く訳です。骨を作ったり溶かしたりというバランスを保つ役割を果
たしているエストロゲンが無くなると、骨を作るよりも溶かして行く方が強くなります。
ですから、閉経すると5年くらいで急速に骨量
が減り、それまでに骨が保たれていないと、骨そ髪症や病的な骨折につながっていくのです。
同様に、閉経することによって血管の機能が悪くなり、心筋梗塞や脳閉塞などの病気が閉経後10〜15年くらいで増えて来るという例もあります。
また、脳のいろいろなタンパク質の代謝にもエストロゲンが関係していて、その減少でボケが早く始まったり、痴呆のなかで一番問題になるアルツハイマー病が高齢者に出て来るということも分かってきました。
こういった病気の発症しやすい状態は、更年期に入って急速に進み、危険性が高くなってる訳ですから、女性にとっては非常に深刻な問題です。
こういった病気や症状にも、更年期障害とどうように、ホルモン補充療法という、閉経後に出なくなったホルモンを外から薬として補う治療法があります。
確実に予防や治療ができるので、欧米ではかなり一般
的に使われているのに、日本で理解されない部分もあります。一人ひとりが自分でも勉強して、良いこと悪いことをドクターに問いかけていくことも大切ですね。
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