介護(1)
介護に携わる者にとって、切っても切れないのが介護保険。ところで、一口に介護保険と言っても、その制度をキチンと説明できるほど、詳細に熟知している人は少ないだろう。
保険と言うからには医療保険や年金保険の仲間なのか、新制度というくらいで複雑な決まり事や手続きがあるのだろうか……。その辺りの基本的な事項をクリアーにすべく、介護保険のエキスパートとも言えるケアマネージャーに話をうかがった。
医療と福祉をトータルサポートする
介護保険を一言で表現するなら「サポーターをサポートする制度」だとケアマネージャーの鈴木さんは語る。
北欧では瞬きしかできないような高齢者が、朝昼夜と来訪するヘルパーの手助けでひとり暮らしをしている例もあるというが、日本の介護保険は本当に寝たきりの高齢者が一人暮らしで生活するレベルまで保障できるものではない。
以前は高齢者が寝たきりになってしまうと病院へ入れるのが当たり前だったのが、今は病院でなく在宅でも見られるという傾向になってきている。
そこで役立つのが介護保険で、ある程度の介護者がいる高齢者と介護にあたる家族をサポートするための制度なのだ。
介護保険制度がつくられた経緯には、高齢化が進展してきた近年の社会的な背景がある。介護を必要とする高齢者が増える一方で、核家族化や少子化の影響から高齢者の介護を家族任せにできない。
そこで高齢者介護を社会全体の問題と考え、病気になった場合に医療費の一部を負担すれば治療や診察を受けられる医療保険、高齢になった場合や障害を負った場合、一家の大黒柱がなくなった場合に保障を受けられる年金保険と並ぶ社会保険として定めたもの。
介護が必要な高齢者を抱える家族が介護生活を続けられるようにするための制度といえる訳だ。
被保険者となるのは40歳以上で、国民全員が介護保険料を負担することになっている。介護保険の保険料を納めていれば、一定の資格を満たした場合に誰でも介護サービスが受けられる。
「介護保険が導入される以前は、区の措置としてヘルパーの派遣サービスがありました。
区の承認を得てヘルパーが入るのですが、この方は週6時問入れられる、この方は週9時間という差は何なのかというと、ちょっとアバウトな面があったり、本当に必要でも最低レベルで入れるような感じだったところもあるんです。
その辺は介護保険になって、要介護度の範囲内であれば自由にサービスを組み立てられるますので、ヘルパーにしてもデイサービスにしても、いろんな組み合わせの中で以前より多くのサービスが提供できるという気はしています」
| ■介護保険サービス利用の手続き(例:品川区) |
| 1.相談・申請 |
介護で困ったときに、近くの在宅介護支援センターに連絡し、相談・申請を行う。 |
| 2.訪問審査 |
相談員が家庭訪問して85項目の基本調査票を作成し、コンピュータによる一次審査が出る。 |
| 3.要介護認定 |
一時判定の結果に、訪間調査の際に相談員が書き取った特記事項、病気などの症状をまとめた主治医の意見書を合わせ、介護認定審査会が6段階の区分に分かれた認定を決定する。 |
| 4。介護サービス計画を作成 |
ケアマネージャーが中心となって、ヘルパーや医師・看護婦などと連携して、認定の範囲内で必要な介護サービスの計画をたてる。居宅介護支援事業者を選択することができる。 |
| 5.介護サービスの提供 |
在宅サービスや施設サービスなど、必要に応じた介護サービスが受けられる。 |
要介護度の認定
それでは、介護保険のサービスを実際に利用するには、どうすればよいのだろうか。その手続きの大まかな流れは、品川区を例にあげた表の通りとなるが、市区町村によって対応窓口などが若干異なる部分もある。
まず、介護保険によるサービスを受けるには、前段でも述べたとおり一定の資格を満たしている必要がある。その状態を判断するのが『要介護認定』で、この認定を受けるためには役所や社会福祉協議会、在宅介護支援センターなど、市区町村が定めた窓口に申請を行わなければならない。
認定の申請をすると、市区町村の職員や委託を受けた介護認定調査員が申請者の家庭を訪問し、85項目におよぶ『基本調査票』に基づいて、身体的な事柄や日常生活の状況、痴呆症状や認知的な面などを聞き取り、コンピュータ処理によって1次判定が行われる。
そこに、基本調査では把握できない状況を調査員が記入した『特記事項』および、医療面での対応のために主治医による意見書(主治医がいない場合は市区町村が指定した医師の診断を受ける)を併せて『介護認定審査会』で最終的に表3のような『要介護度』が決定される。
介護認定審査会は、市区町村が任命した5人程度の福祉、保険、医療の専門家で構成されており、総合的な面で判断が下されるという訳だ。
ただし、要介護認定には有効期間があり、原則として6カ月、認定を受けた人の状態や病状によっては8ケ月や1年など、審査委員会で定められる。
この期限の60日前から更新として、その都度あらたに判定を行うが、期間内であっても要介護者の状態が変化した場合は『再申請』ができるほか、判定結果に納得できない場合に『再調査』を申し込むこともできる。
要介護認定のモデル例
| 要介護度 |
高齢者の状態 |
| 要支援 |
要介護状態とは認められないが、社会的支援を要する。
食事・排泄、衣類の着脱は自立しているが、ときどき支援を必要とする。 |
| 要介護I(1) |
生活の一部について部分的介護を要する
食事・排泄、衣類の着脱はおおむね自立しているが、一部介助支援を必要とする。 |
| 要介護II(2) |
軽度の介護を要する
食事、衣類の着脱は何とか自分でできるが、排泄は介護者の一部介助を必要とする。 |
| 要介護III(3) |
中程度の介護を要する
食事、衣類の着脱は介護者の一部介助を必要とする。排泄には全面的な介助が必要。 |
| 要介護IV(4) |
重度の介護を要する
食事・排泄、衣類着脱すべてに介護者の全面的介助が必要。尿意・便意が伝達されない。 |
| 要介護V(5) |
苛酷な介護在要する
寝返りもうてない寝たきり状態で、意志の伝達が困難。介護者の全面的な介助が必要。 |
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