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代替医療リポート






女性の更年期障害(2)

「ホルモン薬は、一般的に1カ月を1周期として利用します。はじめはプレマリンを試すことが多いのですが、一応2周期続けて経過を見ます。

 体質にもよりますが、エストロゲンを飲み始めて、だいたい2、3カ月もすると症状はおさまってきます。しかし、次の症状が出てきます。それが更年期なんですね。

 

●エストロゲン(女性ホルモン)が果すさまざまな役割
性腺 性器の発育を促進する
排卵前に増加して排卵への引き金となる
子宮内膜を増殖して妊娠の環境を整える
膣の萎縮を防ぎ粘液の分泌を促進する
子宮頻管粘液を分泌して感染防止と精子を進入しやすくする
乳腺 乳管の発育を促進
皮膚 乾燥と萎縮在防ぎ、張りを保つ
毛髪の発育在促進する
皮下脂肪組織の産生を抑える
骨粗懸症在防ぐ
脂質 善玉のHDLコレステロールをふやす
悪玉のLDLコレステロール在減らす
中枢系 血管運動神経系の症状を抑える
性腺刺激ホルモンの分泌を抑える
乳腺分泌ホルモンの分泌在促す
気分を明るくする
記憶力在維持する
(『図解更年期クリニック」中村理英子著より)


 このホルモン補充療法はエストロゲンがかかわっているすべての症状に効果があります。のぼせやほてり、動悸など自律神経にかかわる症状にはとても効果がが現れやすいですね。

 そのためこうした症状で起こる不眠症やイライラ、ゆうつつなど、精神神経系の症状がよくなることが多いのです」

 ほかに神経質、疲労感、関節痛・筋肉痛、頭痛、知覚異常などに効果がある。

 ホルモン補充療法は誰もが受けられるというわけではない。乳ガンや子宮内膜ガン、血栓症、重症の肝機能障害がある人は絶対に受けることはできない。

 また子宮筋腫やインスリンを必要とする糖尿病患者など、できるだけ避けたほうがいい病気もある。

 さて、冒頭に出たホットフラッシュについてはどうだるうか。

「ホットフラッシュは男性ホルモンを飲んだからといってそう簡単におさまるものではありません。

 ホットフラッシュや垂れるような大汗をかく人には、女性ホルモンと黄体ホルモンの合剤を投与することで、なくなった生理をこさせるようにしてホットフラッシュを抑えるわけです。

 年に2、3回生理があるようにするだけで子宮体ガンを予防することができますから、アメリカなどでは70代まで飲み続けている人もいるほどです」

 ホルモン補充療法が骨粗鬆症や高脂血症にも効くことは先述したとおりだ。エストロゲンが骨の形成を促す作用があるからだ。このことは骨量を増やすことで更年期障害の症状を軽く抑えることにも通じる。

「そのためにも骨量を減らさないような生活を心がけることが大切です。食べ物に気を付け、適度な運動をし、1日10分でいいから陽に当たるようにしたいですね」


体調全体をよくするのに有効な「漢方治療」

 また、同クリニックでは漢方療法も実施している。

「漢方薬はもともと女性の自律神経系のさまざまな不定愁訴をやわらげることが得意ですから、体調全体を整えるかたちで使います。ホルモン補充法でうまくいかない部分を補う使い方も可能です。

 急激に減っていくホルモンを補充し、急な変化に対応させていこうというホルモン補充療法とは違い、ホルモンが減っていく状態に身体を慣らせていくものです。

 たとえば、ほてりや発汗はホルモンの急激な減少に対して身体が頑張って抵抗している状態ですが、これを安定した状態に軟着陸させようというのが漢方療法なんです」

 いろいろな経験によってさまざまな治療法が生み出されてきた漢方だが、そのさまざまな作用を持つ生薬を一人ひとりの体質に合わせて組み合わせ、それを服用することで症状を改善していく。漢方はそれがとても得意なのだ。

「漢方治療は、検査で現れにくい機能的な変調を調整します。とくに更年期の症状は、卵巣には異常がないけれども、卵巣の機能が低下したために現れるのですが、その低下した機能を調整するのが漢方の得意とする分野です」

 更年期の症状の中には、ホルモン補充療法を行なっても改善されないケースもある。なん

なく体調がすぐれないといった人には、体調全体を整える漢方治療で症状がやわらぐことも少なくない。冷え性や肩が凝る人にとっては、体を温めてくれる漢方が効果的なのだ。

 最近は多くの病院で漢方薬を処方してくれる。いろいろな生薬を刻んで煎じたものをフリーズドライ製法で粉にした「漢方エキス製剤」が保険薬として認められているので、ホルモン補充療法に抵抗がある人にとっては身近な治療法と言える。

 また、乳ガンや血栓症などでホルモン補充療法が受けられない人にとっては、大きな身方味方になってくれる治療法だ。

 同クリニックでは、主に次の漢方薬を使っている。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
 冷えのぼせがあり、血行がよくない人に使われる。芍薬は筋肉の痛みをとる作用があり、この薬は現代医学で、子宮の収縮を抑えたり、子宮への血行をよくすることが認められている。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  桂枝と茯苓、芍薬、当仁、牡丹皮などが合成されており、更年期のいろいろな症状に使われる。桂枝は現代医学で卵巣を刺激するホルモンのバランスを調整する作用が認められている。

・温経湯(うんけいとう)
 疲れやすく、冷えのぼせがある人に使われる。下垂体の黄体ホルモンの分泌を促す作用がある。

 更年期は女性なら誰もが通過する過程だが、症状の出方には個人差がある。また同じ症状でも辛く感ずる人と、それほど辛く感じない人がいる。年齢や性格、考え方、あるいは環境などの影響が複雑に絡み合っているからだ。

「だからこそ私どもでは、患者さんの話をよく聞くようにしています。そして、『ホルモン補充療法』と『藻方療法』の中から患者さんに合う治療法をお勧めするようにしています。

 あくまでも自然体で、いろいろいじくりまわさないことをモットーに治療をしております。なによりも患者さん自身が更年期障害をきちんと理解できていれば、ああこんなものかという程度で終わってしまうのでしないでしょうか」

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